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滲出性中耳炎

滲出性中耳炎

鼓膜の奥の中耳腔(鼓室)に、滲出液といわれる液体がたまる病気です。中耳の粘膜の炎症と耳管の機能低下があると、滲出液が中耳腔にたまるようになります。発熱や耳痛などの症状はないのですが、多くの場合、難聴になり、これが唯一の症状となる場合が多いため、テレビのボリュームを上げる、呼んでも返事をしないなど、日常生活の中で注意することが必要です。軽症の場合は1ヵ月程度、場合によっては完治まで数年かかることもあります。

 

●滲出性中耳炎の原因
耳管は、気圧の調整をする器官で、普段は閉じていてだ液を飲み込んだり、あくびをする時に開いて鼓膜の内側と外側の気圧をバランス調整しますが、滲出性中耳炎は、この機能が低下することが原因で発症します。この機能が失われると、たまってくる液体を鼻腔方面に排出することができなくなり、浸出液が鼓室に溜まってしまいます。耳管の機能不全については、3つの要因が考えられています。

  • 鼓膜側の要因
    鼓膜側の要因として代表的なものが急性中耳炎です。急性中耳炎は耳管を通って細菌が鼓室に達し炎症が起こる病気です。鼓膜や鼓室粘膜の発赤や腫れをおこし、場合によっては鼓室に膿が溜まります。この鼓室粘膜の腫れが耳管の開口部が狭くなり耳管の通気性が低下します。
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  • 鼻腔側の要因
    鼻咽腔の要因として代表的なものがアデノイドです。アデノイドは咽頭扁桃という鼻咽腔にある扁桃組織が腫大したもので、耳管が圧迫され耳管の通りが悪くなります。このアデノイドは、鼻づまりの原因ともなり蓄膿症や副鼻腔炎の治癒を妨げ、耳管機能の悪化に影響します。その他、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、花粉症も鼻粘膜の腫れをおこし、耳管の開口部を通りにくくします。
  • アデノイド

  • 管自体の機能低下
    年齢による耳管そのものの機能不全(未発達と加齢による機能低下)と先天的な機能不全が要因となる場合があります。耳管の未発達な10歳くらいまでと加齢による機能低下が見られる50~60歳以降に滲出性中耳炎が多く見受けられます。また、先天的に、耳管を開放させる筋肉そのものが欠損していたり、筋肉の付着部位が正常な位置にないために機能不全となっている例があります。これは、口蓋裂などによく見られます。