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病院での治療

お医者さん

中耳炎は自然に治るものではありません。必ず耳鼻咽喉科で診察してもらい早めに治療を受けるようにしましょう。

通常、中耳炎の治療は薬物治療が行われ、処方されてから数日~10日程度で治ると言われています。薬を飲み始めると痛みがなくなり治療をやめてしまう方もいますが、医師に完全に治ったと言われるまで、きちんと治療を受けなくてはいけません。途中で治療をやめてしまうと、滲出性中耳炎、反復性中耳炎、慢性中耳炎に移行してしまう恐れがあるためです。

中耳炎にかかりやすい子供は、体のさまざまな器官が発達する時期とも重なり、言葉を覚え始める時期の場合も多いため、炎症を起こしたり、難聴になるような状況は避けたいものです。また、発症が早ければ早いほど、再発する確立が高くなるというデータがあるため、必ず治療を受けるようにしましょう。

 

●処置
治療に先立って、まず溜まった鼻水を吸引します。吸引管もしくは、オリーブ管を使い鼻水を吸引し、その後ネブライザーなどで薬液を粘膜に噴霧します。

 

現在では、家庭でも使用が可能な小型の電動鼻水吸引器が市販されています。病院だけでなく、家庭でも鼻水吸引を励行し、早期治癒と予防を心がけましょう。
尚、吸引管やオリーブ管は医師の使用に限定されています。一般のご家庭で吸引する場合は、
柔らかく安全なシリコンノズルを使用しましょう。

シリコンノズル
●薬物療法
中耳炎の治療は薬物療法が基本となります。
軽い中耳炎であれば、鎮痛剤や解熱剤だけでも治る場合もありますが、ほとんどの場合、抗生物質の服用が必要となります。抗生物質を服用することで症状は改善されますが、それでも治りにくい場合は薬物耐性菌への感染が疑われます。適切に抗生物質を服用しないと中耳炎が治らなくなるだけでなく、薬剤耐性菌を増やすことになってしまうため、症状が改善しても医師から指示があるまで治療を継続しましょう。途中で中断してしまうと再発に繋がるだけでなく、反復性中耳炎へ移行するリスクが高くなります。また、薬物治療を受ける際には、再発かどうか、また、再発の場合は以前処方された抗生物質についても医師に伝えると良いでしょう。薬物耐性菌のことを考えて治療を受けることが大切です。
●手術療法
中耳炎の症状や、種類によって薬物療法だけでなく手術を行う場合があります。

    • 鼓膜切開術
      耳痛が強いときや熱が続くときに鼓膜を少し切って膿を出す手術です。膿を出すと痛み熱が取れて楽になります。また、膿を出し細菌量を少しでも減らしてから抗生物質を使用したほうがより効果的で、服用期間も短縮できるというメリットがあります。物理的にも、鼓膜を切開することで、膿が耳管を通して鼻へ流れやすくなり、回復が早くなります。尚、鼓膜は切っても数日で塞がるので、聴力に悪影響はありません。
    • 鼓室内チューブ留置術 (チュービング)
      急性中耳炎を繰り返す場合や、滲出性中耳炎に対して効果的なのが鼓室内チューブ留置術 (チュービング)です。軽い麻酔をした後に鼓膜を切開し、溜まった滲出液を吸引してから鉛筆の心程度のプラスチック製のチューブを差込む手術で入院は不要です。チューブは耳にそのまま放置され、しばらくの間鼓膜に穴が開いている状態にして換気を促し、中耳の鼓室に溜まった浸出液を排出し粘膜の状態を改善させます。通常このチューブは6~9ケ月で自然に取れ、鼓膜に開けた穴も自然にふさがりますが、穴が開いたままになってしまったときは、鼓膜再生手術を行います。重症の滲出性中耳炎でも約8割の治癒が見られます。

鼓膜に穴が開いている状態の時は、外部から細菌やウィルスが入りやすくなりますので衛生的に保ちましょう。

 

●ネブライザー治療
薬物療法の一種ですが、服用するのではなく、ネブライザーで薬液を吸入する治療です。通常、中耳炎の診察では耳の状態だけでなく、鼻の状態も診察します。そして、子供の中耳炎の多くの原因となっている
鼻水の吸引を行い、耳に細菌が流れないようにするとともに、ネブライザーで、薬液を鼻の粘膜に直接噴霧します。中耳炎の炎症に対する直接的な治療ではありませんが、中耳炎の原因となっている鼻水と粘膜の炎症を抑えるためのもので、鼻の通りをよくします。