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COPDの診断方法

COPDは自覚症状がないまま進行するため、早期発見のためには病院での受診が欠かせません。特に長期喫煙者や、慢性的に咳・痰・息切れが続いている人は注意が必要です。COPDは呼吸器の病気ですが、呼吸器内科がなければ一般の内科でも受診することができますので、まずは、ホームドクターの診察を受け、症状が重い場合や高度な検査が必要になる時に専門病院で診察を受けるのが良いでしょう。

 
 

COPDの診断で行なわれる診察・検査
 

診察

問診

    ●問診

  • 患者が喫煙者かどうか
  • 副流煙、汚染された大気、化学性有害ガス、粉塵など肺の刺激物となるものと接触したか
  • 家族にCOPDを発症した人がいるか
  • 生活習慣
  • (咳などの症状がある場合は)

  • どれくらいの期間続いているか
  • どれくらいの頻度で出ているか
  • どれくらい痰がでるか
    ●視診
    COPDでは外見から症状がわかる場合があり、以下のような点について視診します。

  • 口をすぼめて呼吸する
  • 首の筋肉が目立つようになる
  • 顔色が悪くなる
  • 手足にむくみがあるか

打診

    ●触診
    からだを直接触って、皮膚の張りやリンパ節の状態を触診します。
    ●打診
    胸や背中をたたいて発生する音響を聞きます。肺の病変や横隔膜の動きなどを調べます。
    ●聴診
    胸や背中などに聴診器を当てて呼吸音などを診ます。COPDでは呼吸音が弱い、気道が狭くなってヒューという音が聞こえるなどの症状があります。

聴診器
 
 

肺機能検査(スパイロメトリー)

肺機能検査では、患者がどのくらい空気を吸ったり吐いたりできるか、また、どのくらい速く空気を吐きだすことができるかを検査します。

COPDの診断に欠かせない肺機能検査はスパイロメーターという医療機器を使用して行なわれますがCOPDの症状が発症する前にCOPDを検出することができ、また、COPDの重症度を判定したり患者の治療方針の決定に役立ちます。

 

    スパイロメーターによって、下記のような項目について測定をします。

  • 肺活量(VC)…息を最大限に吸い込んだ後に肺から吐き出せる空気量を調べます。
  • %肺活量(%VC)…年齢や性別、体重から算出された予測肺活量(基準値)に対しての、実測肺活量の比率を調べます。
  • 努力性肺活量(FVC)…最大限に息を吸った最大吸気位から可能な限り一気に吐き出させた(最大呼出)ときの肺活量を調べます。
  • 1秒量(FEV1.0)…努力性肺活量のうちの最初の1秒間に吐き出された空気の量を調べます。
  • 1秒率(FEV1%)…努力性肺活量に対する1秒量の比率を調べます。
  • 残気量…息を吐ききったあとに、肺に残っている空気の量を調べます。

 

スパイロメーターでの測定方法

スパイロメーターでの測定方法


図は、スパイロメーターによる検査がどの様に行われるか表したものです。患者は深呼吸し、スパイロメーターに接続されたチューブに空気を吐き出し、患者がどれくらい多く、又、どれくらい速く空気を吐き出せるか測定します。深呼吸をしてチューブに空気を強く吐き出すことで測定ができるため痛みはありません。

 
 

胸部エックス線検査

胸部エックス線検査は、肺の形や大きさ、状態を見るのに役立ちます。体の各器官や組織は、X線が照射された時の透過率が異なります。X線を通さない心臓や骨は白っぽく写り、空気が多い部分の肺は黒っぽく写ります。COPDの場合、肺が膨張し垂れ下がったように上下に長くなっていることが多く、肺の下にある横隔膜は、正常では丸いドーム状になっていますが、COPD患者の場合は平らになっています。

 
 

胸部CT検査

CT検査は、X線を小刻みに照射して体の断面図を撮り、それらの情報をコンピュータ解析して画像をみる検査です。肺の細部まで画像化できるため、病変部を詳しく診断することができ、COPDの合併症として危険性が高い肺がん(または肺気腫)の早期発見にも役立ちます。

 
 

動脈血ガス分析

動脈血ガス分析は、肺の酸素を取り込み二酸化炭素を排泄する能力などを調べる検査です。注射針を使い手首やそけい部、腕などの動脈から血液を採取して分析装置にかけ、血液中の酸素と二酸化炭素の濃度を分析します。肺で酸素交換が正常に行なわれているか測定し、COPDの重症度および酸素療法が必要かどうかを判定するのに役立ちます。

 

●動脈血ガス分析の基準値
  pH(水素イオン濃度)…7.35~7.45
  PaO2(酸素分圧)…80~100mmHg
  PaCO2(二酸化炭素分圧)…35~45mmHg
  SaO2(酸素飽和度)…95%以上

 
 

必要に応じて実施される検査

●オキシメトリー
オキシメトリーは、患者の血液中の酸素飽和度を測定する検査です。パルスオキシメーター(※)という医療機器を使って測定するもので、動脈血ガス分析で得られる酸素濃度との近似値が得られ、酸素療法が必要かどうかを判定する他、酸素療法を受けている患者の自己管理にも使われます。動脈血ガス分析によって提供される情報量より少ないものの、痛みを伴わず簡易に測定できるため広く活用されています。
パルスオキシメータ※パルスオキシメータ
パルスオキシメーターは、COPD患者の日常生活において、体調管理にとても役立ちます。COPDと診断されたら常に持ち歩き、息苦しさや呼吸困難を感じた時に測定しましょう。現在は、価格も安くなり手軽に持ち歩けるようなものが出揃っています。それぞれの特徴を比べて、自分が必要とする機能を備えたモデルを購入することをおすすめします。

 

●心電図検査(ECG) 心エコー図検査
息切れを発生させている心臓の問題を特定し発見することができます。

 

●一酸化炭素伝達因子検査
肺が損傷を受けているかどうかについて検査し、損傷を受けている場合は、損傷の度合およびCOPDの重症度を測定します。

 

●α1アンチトリプシン濃度検査
COPDの発症が遺伝子要因によるものかどうかを診断するための検査です。α1アンチトリプシンは、ヒトの体内で生成される、肺を守るためのタンパク質ですが、体内で十分なα1アンチトリプシンが生成できない人達は、肺気腫を発症しやすい傾向にあります。