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COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは?

COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは、慢性的に気道が閉塞状態になり息切れや呼吸困難、痰や咳などの症状が起こる病気です。肺気腫(※1)や慢性気管支炎(※2)のように他の名前で呼ばれることもありましたが、これらの2つの病気は発症の原因が共通しており、治療方法を区別する必要がないため近年ではWHO(世界保健機関)のガイドラインに沿って「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」と呼ばれるようになりました。
(COPD:「Chronic Obstructive Pulmonary Disease」の頭文字より名づけられている)

図

COPDは、初期症状が風邪と似ているため、発症に気付かず見過ごされがちです。また、徐々に病状が進行することから、医療機関の受診が遅れ、気付いた時には悪化してしまっていることも少なくありません。
症状が悪化すると、息切れや呼吸困難を起こし日常生活にも影響がでて、散歩や料理、自分自身の身の回りの事など、単純な日々の活動も出来なくなってしまいます。一度損傷した肺は回復させることができないため、完治するための治療方法は見つかっていませんが、治療を続けると同時に、生活スタイルを変えて、適度に軽い運動をすることで悪化を防ぎ病気の進行を遅らせることができます。

息切れ

※1 肺気腫

肺気腫とは、肺胞壁が破壊されて肺胞がどんどん結合して大きくなり、息切れや呼吸困難を起こしている状態をいいます。

健常者の肺には伸縮性のある小さな肺胞がたくさんついていて、息を吸った時に伸びて息を吐いた時に元の大きさと形状に戻ることができますが、肺気腫患者の肺は、肺胞壁が損傷を受けて結合し大きな肺胞が少量しかついていない状態になり伸縮性も失ってしまいます。また、肺の中の小さな気道(細気管支)も、壊れやすくなって肺胞内に空気を閉じ込め酸素を含んだ空気が肺胞内に入りづらく、同時に二酸化炭素が肺から出づらくなります。

肺胞

※2 慢性気管支炎

慢性気管支炎とは、気管支が炎症を起こし痰や咳が慢性的に続いている状態をいいます。特にタバコを原因として発症する病気で、ほぼ全員が喫煙者または喫煙経験者です。

タバコの煙に含まれる有害な化学物質が肺への刺激物となり、気道で炎症を引き起こして気管支の内壁が厚くなります。これにより気道を狭められると同時に、この炎症により発生した痰が溜まり呼吸困難となります。そして、長期間にわたる炎症と痰が肺の損傷につながり肺が感染症にかかりやすくなります。
 
気管支

 

図A:健康な人の肺と肺胞

図A:健康な人の肺と肺胞

 

図B:COPD患者の肺と肺胞

図B:COPD患者の肺と肺胞