copd


治療方法

COPDの治療は、完治することが難しいため、病気の進行を防ぎ患者さんの生活の質(QOL)を向上していくことに重点が置かれます。

    ●COPDの治療目標

  • 病気の進行を防ぐ
  • 息切れや呼吸困難、痰や咳などの苦しい症状をやわらげる
  • 日常生活を続け、歩いたり仕事ができるようにし寝たきりを予防する
  • 軽い運動を行い、健康状態を少しでも良くし生活の質(QOL)を高める
  • 急激な悪化(フレアアップ)を予防する
  • 肺がん、脳卒中、胃潰瘍や骨粗鬆症などの合併症の予防
  • 薬の副作用をできるだけ抑える

また、治療方法には下記のようなものがあります。

 
 

酸素療法

重度のCOPDの場合、血液中の酸素レベルが低くなり呼吸困難の症状が出ますが、酸素療法により呼吸を楽にし、右心不全の予防または悪化を防ぐのにも役立ちます。この治療法は、鼻腔から挿入したチューブやマスクにより患者に酸素を供給し、重度COPD患者はこれにより[1] 低酸素血症の改善、[2] 呼吸仕事量の改善、[3] 心筋仕事量の改善の手助けとなります。

酸素療法

    ●酸素療法の効果

  • 症状を抑制し日常生活を継続することができる
  • 肺高血圧・肺性心の進行を防止
  • 夜間睡眠時の低酸素の改善
  • 日中の注意力・記憶力の改善
  • 予後の延長

 

吸入療法

吸入療法は、薬剤が患部に直接届くため即効性が高く、投薬量を最小限に抑えることができるため副作用が少ないことが利点となっています。その為、呼吸器疾患では吸入療法が多く取り入れられています。ネブライザーを使用して薬液を吸入する治療法と、噴霧器と薬剤が一体化した「P-MDI」や「DPI」がありますが、ネブライザーを用いた治療の方が、薬液の粒子径が小さく肺の深部に届くためCOPDにおいては、ネブライザーを用いられる傾向があります。

吸入器

    ●吸入療法の効果

  • 息切れを緩和する
  • 咳や喘鳴をコントロールする
  • 急性増悪(フレアアップ)の防止
  • 病状の進行を防ぐ
  • 急性増悪(フレアアップ)が深刻な状態になることを防ぐ

※吸入療法は急性増悪の防止に効果的
COPDの症状には、息切れや呼吸困難、咳痰が出るなどがあり、日々変動があるものですが、これらの症状が急激に悪化することを急性増悪といいます。増悪の原因は、ウィルスや細菌による感染と大気汚染ですが、3分の1は原因が不明となっており、COPDの急性増悪は、生活の質を低下させ肺機能を低下させることにもつながり、酷い場合には生命を脅かすこともあります。このため急性増悪を予防して早期に発見治療することは、COPDの進行の抑制にもよいと考えられています。

 
 

手術

COPDの治療において、手術は一般的ではありませんが、重度の患者に対するものが何種類かあります。いくらかのCOPD患者にとっては、手術が良い場合もあります。通常、手術は、重度な症状を発症している患者のうち、薬により症状が改善されない患者の最終手段です。COPDは主に肺気腫と関係しており、COPD患者の手術は、肺嚢胞切除術および肺容量減少手術(LVRS)を含みます。非常に重度なCOPD患者に対しては、肺移植もオプションの一つです。

 
●気腫性肺嚢胞(ブラ)切除術

肺胞壁が損傷し破壊されると、ブラと呼ばれるより大きなスペースが形成されます。このスペースは非常に大きく呼吸を妨げるため肺嚢胞を切除し大きなブラを取り除きます。

 
●肺容量減少手術(LVRS)

手術で肺の最も重症な部分を取り除くことで、残った肺や横隔膜の機能を改善させます。内視鏡で肺の一部を切り取るのが一般的で、これにより呼吸が楽になり、QOLの向上が認められています。

 
●肺移植

損傷を受けた肺が取り除かれ、ドナーから提供された健康な肺が移植されます。延命よりもQOLの向上の目的が強く、生涯にわたる免疫抑制療法が必要となるなどのリスクも伴う。