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塗り薬

アトピー性皮膚炎では、まず炎症を抑えて炎症からくるかゆみをとめないと、悪循環に陥り、悪化したり慢性化してしまうためステロイド剤を使用します。
ステロイド剤には、副腎皮質ホルモンが含まれており、皮膚の炎症を抑える力が強いのが特長で、アトピー性皮膚炎以外の皮膚疾患でも使用されることがあります。
患部のみに塗るため全身的な副作用はありませんが、強いステロイド剤を長期間使用すると皮膚が薄くなったりするなどの副作用があるためできるだけ短期間での使用となるように心がけます。
短期間での使用にするためには、しっかり炎症を改善する必要があり、自己判断で薬を減らしたり、塗ったり塗らなかったりすると改善せず、使用期間も長くなりがちになりますので、「正しい塗り方」で「適量」を「決められた回数」でステロイド剤を使用しましょう。
その後、炎症が鎮まったら保湿剤のみでコントロールしていきます。 
 

●ステロイド剤の正しい塗り方

①薬を塗るところを清潔にします(細菌やカビのあるところにステロイド剤を塗ると症状が悪化するため。洗うことができれば理想的ですが、難しい場合は軽くふき取るだけでも良いでしょう)
②石鹸で手を洗います(薬に細菌やカビなどを混入させないため)
③1回分を手のひらに出します(チューブから直接塗るのは厳禁)
④指のはらで薄く塗ります(強くすり込まないように注意する)

 

●ステロイド剤を塗るタイミング

・お風呂上り
・朝起きた時

 

ステロイド剤の種類

ステロイド剤は強さによって、Strongest(Ⅰ)、very strong(Ⅱ)、 strong(Ⅲ)、 mild(Ⅳ)、 weak(Ⅴ) の5段階に分けられます。
乳幼児の場合は、Strong(Ⅲ)以下の薬が使われますが、ワセリンなどの保湿剤と混合して使用する場合は、Strongest(Ⅰ)やvery strong(Ⅱ)を使用することもあります。
また、顔や首は他の部位より皮膚が薄く成分が吸収されやすいので体より1段階低い薬を使用します。

ステロイド種類

 

ステロイド剤の副作用

ステロイド剤は患部に局部的に塗るため、全身に影響を及ぼすような副作用はありません。
Strongest(Ⅰ)、very strong(Ⅱ)などのような強い薬を長期間使用すると、皮膚が薄くなるなどの副作用がありますが、赤ちゃんや小さい子供に、強い薬を長期間使用することはありません。
また、ステロイド剤の使用をやめた時に症状が悪化したのを、ステロイド剤の影響だと考えるお母さんもいますが、これは炎症が沈静化する前にステロイド剤の使用を中止したことによるものです。
完全に沈静化する前にステロイド剤の使用を中止すれば、炎症が悪化するのは当然のことです。
ステロイド剤はアトピー性皮膚炎の根本治療の薬ではなく、皮膚の炎症を抑える対症療法の薬ですので、アレルゲンの侵入や、乾燥によるかゆみが出れば、アトピー性皮膚炎は再発することを忘れないようにしましょう。

 

●ステロイド剤の副作用

・皮膚が薄くなる(皮膚萎縮)
・毛細血管が広がって、浮き上がって見える(毛細血管拡張)
・赤ら顔
・皮膚に細菌やカビが繁殖しやすくなる
・カンジダ、とびひなどの感染症にかかりやすくなる。悪化
・髪や長時間塗った部分の体毛が濃くなる